参考議会

記事一覧


(千葉県)流山市議会基本条例

流山市議会基本条例

可決:平成21年3月24日
施行:平成21年4月1日
一部改正:平成22年2月
一部改正:平成23年9月
一部改正:平成25年3月

流山市議会基本条例

目次

前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会の運営原則及び議員の活動原則(第3条-第8条)
第3章 市民と議会の関係(第9条・10条)
第4章 議会と行政の関係(第11条-第15条)
第5章 自由討議の保障及び拡大(第16条)
第6章 委員会の活動(第17条)
第7章 政務活動費(第18条)
第8章 議会及び議会事務局の体制整備(第19条-第23条)
第9章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第24条-第26条)
第10章 条例の検証及び見直し手続(第27条)
附則

 流山市政は、流山市民(以下「市民」という。)の負託によるものであって、その権利の源は市民にある。その権能は、選挙によって選ばれた市民の代表者である市長と選挙によって選ばれた議員によって構成される流山市議会(以下「議会」という。)が、市民福祉の向上のため、市民の要望を把握して行使する。

 この条例は、主権在民を基調とする民主主義の原理に基づいている。

 市政の運営は、日本国憲法に基づく二元代表制の下で、市長と議会は市民の負託を更に重く受け止めて活動し、市長は執行機関として、議会は合議制の議事機関として、それぞれの異なる特性を活かしながら、競い合い、協力し合わなければならない。そして、市長と議会には、緊張関係の下で、論点及び争点を明確にし、流山市にとって最良の意思を決定することで、市民全体の福祉向上と地域社会の活力ある発展を目指していく使命が課せられている。

 新しい地方主体の時代を迎え、地方自治の範囲が拡大した今日、住民に最も身近で基礎的な自治体である市町村の自治権を拡充し、これを生活者の視点に立った「地方政府」に近づけていくことが求められている。

 よって議会には、これまで以上に監視、調査、政策立案及び立法の機能強化が求められている。

 さらに、積極的な情報公開を率先して行い、より一層市民に開かれた議会を実現しなければならない。また、議会は市民の多様な意見を的確に把握することに日々努力し、常に市民との対話を行い、市民の声を汲み取りながら、議員間で自由かったつな討議を重ね、市民に信頼される議会運営に取り組まなければならない。

 議会は、この崇高な理念と目的を達成することを誓い、ここに流山市議会基本条例を制定する。

第1章総則

(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、議会運営における規範的事項を定めることにより、市民の負託に的確にこたえ、市民福祉の向上及び市勢の伸展に寄与することを目的とする。

(他の条例との関係)
第2条 第1条の規定に基づき、この条例の趣旨に反した議会運営に関する条例、規則等を制定してはならない。

第2章 議会の運営原則及び議員の活動原則

(議会の運営原則)
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づき運営を行うものとする。

(1)公開性、公正性、透明性を確保し、市民に開かれた信頼される議会を目指すこと。

(2)市民を代表する議事機関であることを常に自覚し、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)の市政運営状況を監視すること。

(3)市民の多様な意見を的確に把握することに努め、市政に反映させるための議会運営を目指すこと。

(4)議員相互間の討議を十分に尽くして、合意形成に努めること。

(5)流山市議会会議規則(昭和42年流山市議会規則第1号。以下「会議規則」という。)、流山市議会委員会条例(昭和42年流山市条例第11号。以下「委員会条例」という。)及び議会における先例又は申し合わせ事項は、継続して精査し、必要があれば見直しを行うこと。

(6)分かりやすい言葉、表現を用いた議会運営に努めること。

(議員の活動原則)
第4条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行うものとする。

(1)議会が言論の府であること及び合議体であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。

(2)市民の多様な意見を的確に把握することに努め、市民全体としての福祉向上を目指すこと。

(3)議員立法による積極的な条例提案を行うよう努めること。

(会派)
第5条 議員は、同一理念を共有する他の議員と結成した政策集団として、議会活動を行うための会派を結成することができる。

 2 会派は、政策立案、政策決定、政策提言等において議論を尽くし、その意思を表明することができる。

(代表者会議)
第6条 代表者会議について必要な事項は、流山市議会代表者会議要綱(平成21年流山市議会告示第1号)で定めるものとする。

(全員協議会)
第7条 全員協議会について必要な事項は、流山市議会全員協議会要綱(平成21年流山市議会告示第2号)で定めるものとする。

(議長の権限と役割)
第8条 議長の権限については、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)に定めるところによるものとし、その役割については、会議規則で定めるものとする。

第3章 市民と議会の関係

(市民参加及び市民との連携)
第9条 議会は、議会活動に関して有する情報を積極的に公表し、透明性を高めるとともに、説明責任を十分に果たすものとする。

 2 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大に努めるものとする。

(議会報告会)
第10条 議会は、市民への報告と市民との意見交換の場として、議会報告会を行うものとする。

 2 議会報告会に関することは、別に定める。

第4章 議会と行政の関係

(議会と市長等との関係)
第11条 議会審議における議員と市長等との関係については、緊張関係を保持するものとする。

 2 会議における議員と法第121条の規定により議場に出席した者(以下この条において「説明員」という。)は、論点及び争点を明確にしなければならない。

 3 会議において、議員は、一間一答方式を積極的に活用し、説明員は、議長の許可を得て、議員の質問等に対して反問することができる。

(適正な議会費の確立)
第12条 議会は、適正な議会の活動費を確立するため、自ら議会費の予算要望書を作成し、市長に提出することができる。

(法第96条第2項の議決事件)
第13条 法第96条第2項の規定により、議会の議決すべき事件は、市の基本構想及び基本構想に基づく基本計画を策定することとする。

(市長による政策形成過程の説明)
第14条 議会は、市長が提案する重要な計画、政策、事業等(以下「政策等」という。)について、議会審議における論点情報を整理し、その政策等の水準を高めるため、市長に対し、次の各号に掲げる事項の説明を行うよう求めるものとする。

(1)政策等を必要とする背景
(2)提案に至るまでの経緯
(3)市民参加の実施の有無及びその内容
(4)他の自治体の類似する政策との比較検討
(5)総合計画における根拠又は位置付け
(6)政策等の実施に係る財源措置
(7)将来にわたる政策等の効果及びコスト

(予算及び決算における説明)
第15条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前条の規定に準じて、市長に対し、分かりやすい施策別又は事業別の説明を行うよう求めるものとする。

第5章 自由討議の保障及び拡大

(自由討議の保障及び拡大)
第16条 議会は、言論の府であることを十分に認識し、議員相互間の自由討議を重視した運営に努めるものとする。

 2 議会は、前項の議員相互間の自由討議を重視し、条例、意見書等の議案提出を積極的に行えるよう努めるものとする。

第6章 委員会の活動

(委員会の適切な運用)
第17条 議会は、市政の諸課題を適正に判断し、委員会の専門性と特性を活かした適切な運営に努めなければならない。

 2 議会は、常任委員会、特別委員会等の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。

 3 委員会審査に当たっては、資料等を積極的に公開し、市民に分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。

 4 委員会は、委員会条例に定めるところにより公開しなければならない。

第7章 政務活動費

(政務活動費の執行及び公開)
第18条 政務活動費は、議員が政策立案又は提案を行うための調査及び研究に資するため交付されるものであることを認識し、流山市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年流山市条例第1号。以下「政務活動費条例」という。)に定めるところにより適正に執行しなければならない。

 2 政務活動費の収支報告書(領収書等の証拠書類を含む。)及び会計帳簿は、積極的に公表しなければならない。

 3 議会は、政務活動費条例の改正に当たっては、議会の役割及び活動状況を踏まえ、議会内で十分に検討するものとする。

第8章 議会及び議会事務局の体制整備

(議員研修の充実強化)
第19条 議会は、この条例の理念を議員間で共有するため、一般選挙を経た任期開始後、速やかに、この条例に関する研修を行わなければならない。

 2 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化を図るものとする。

 3 議会は議員研修の充実強化に当たり、広く各分野から専門的知識を取り入れるよう努めるものとする。

(議会事務局の体制整備)
第20条 議会は、議会の政策提案機能、立法機能、監視機能及び調査機能を補助させるため議会事務局の体制整備を行うものとする。

 2 議長は、議会事務局の体制整備のため、大学等研究機関並びに専門的な知識及び経験を有する者の積極的な活用を図ることができる。

(議会図書室の利用)
第21条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議会図書室の図書の充実に努めるものとする。

 2 議会は、議会図書室が市民にとって利便性が高いものとなる

よう努めるものとする。

 3 議会図書室の管理については、流山市議会図書室管理規程(平成20年流山市議会訓令第1号)に定めるものとする。

(議会広報の充実)
第22条 議会は、市議会ホームページ等の情報通信技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用し、多くの市民が議会及び市政への関心を高めるための体制整備並びに議会広報活動の充実強化に努めるものとする。

(専門的知見の活用)
第23条 議会は、市の直面する重要課題に対応するため、法第100条の2の規定により、大学等研究機関との連携又は専門的な知識及び経験を有する者の積極的な活用を図ることができる。

第9章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理)
第24条 議員は、市民の代表として名誉と品位を損なう行為を慎み、また、その地位を利用して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないなど、議員としての責務を正しく認識し、議会の一員として、その使命の達成に努めなければならない。

 2 議員は、流山市議会議員政治倫理条例(平成19年流山市条例第18号。以下「政治倫理条例」という。)を、遵守しなければならない。

(議員定数)
第25条 議員定数は、流山市議会議員の定数を定める条例(平成14年流山市条例第25号)で定めるものとする。

 2 議会は、議員定数の改正に当たっては、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用することにより、市民の意向を把握し、本市の実情にあった定数を検討するものとする。

 3 議員が議員定数を改正する議案を提出するに当たっては、改正理由の説明を付して、議長に提出するものとする。

(議員報酬)
第26条 議員報酬は、流山市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(昭和31年流山市条例第64号)で定める。

 2 議会は、議員報酬の改正に当たっては、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用することにより、市民の意向を把握することができる。

 3 議会は、前項の規定により把握した結果について、市長に提出することができるものとする。

第10章 条例の検証及び見直し手続

(条例の検証及び見直し手続)
第27条 議会は、別に期間を定め、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検証し、その結果を市民に積極的に公表するものとする。

 2 議会は、前項の規定による検証の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。

附則

この条例は、平成21年4月1日から施行する。

附則(平成22年2月23日条例第1号)

この条例は、公布の日から施行する。

附則(平成23年9月7日条例第18号)

この条例は、公布の日から施行する。

附則(平成25年2月27日条例第2号)

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第18条(見出しを含む。)の改正規定は、平成25年3月1日から施行する。