この美しきもの

 政治というよりは、民主主義に興味があります。いろいろ問題はあっても、ルール作り(立法)のためのシステムとしては、かなりよくできたもので、かつ美しいとさえ思うからです。

 民主主義は、紀元前五世紀のギリシアのポリス(都市国家)にそのルーツがあります。ルーツはあるのですが、歴史的にみると、民主主義が採用された時代よりは、独裁政治・専制政治・君主政・王政の下であった時代の方が圧倒的に長いです。そして、民主主義に光が当たりだしたのは、1918年の第一次世界大戦終了後です。日本の場合は、ご存知のように1945年の第二次世界大戦後です。今年は終戦後69年、これはそのまま民主主義の歩みでもあるわけですね。いずれにいたしましても、戦争を体験した後で、民主主義が意識されるというのも皮肉な話です。ここらへんに、戦争を回避するためのヒントが隠されているようにも思います。

 この民主主義を指して、イギリスの宰相であったチャーチルは、次のように述べています。「民主主義は最悪の政治制度であるが、今まで存在したいかなる政治制度よりもマシである(民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。)」

 これほど、民主主義を端的に表した言葉はないと思います。いろいろと問題はあるのです。でも、あきらめたくはありません。民主主義にとってかわるシステムを生み出しえないのなら、とりあえず信じてよりよきものへと育{はぐく}んでいくより仕方がありません。好む、好まざるとにかかわらず、引き継ぎ、そして引き継がれゆくシステムなのですから。