逗子市議会基本条例

逗子市議会基本条例

制定:平成26年02月19日 逗子市条例第1号

目次

前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会活動・議員活動の原則(第3条~第5条)
第3章 市民と議会の関係(第6条)
第4章 議会と市長等との関係(第7条~第11条)
第5章 議員間討議の拡大(第12条)
第6章 政務活動費(第13条)
第7章 議会改革の推進(第14条・第15条)
第8章 議会・議会事務局の体制整備(第16条~第21条)
第9章 議員の身分・待遇、政治倫理(第22条~第23条)
第10章 検証及び見直し手続(第24条)
附則

 逗子市議会は、これまで進取果敢に取り組んできた議会改革を基にして、逗子市における議会制民主主義を更に発展させるために、ここに議会基本条例(以下「条例」という。)を制定する。

 そもそも二元代表制における議会制民主主義を機能させるためには、議会と市長が相互に緊張関係を保ちながら、対等な立場で住民福祉の向上に向けて討議することが必要である。

 そして、議会の役割として、市長から提案された事項の審査だけではなく、議会自らが積極的に政策立案、政策決定、政策提言を行うことが求められている。
そのためには、市民の代表者である市議会議員(以下「議員」という。)によって構成された議会の場において闊達な議論が行われなければならず、この条例は、その制度と手続きを定めるものである。

 逗子市議会は、市民の多種多様な価値観や意見を幅広く受け入れて、引き続き健全かつ活力あるまちづくりを推進するために、この条例に基づき活動していくことを誓う。

第1章 総則

(趣旨)
第1条 この条例は、逗子市議会(以下「議会」という。)が、地方自治を担う議会として、公平、公正で透明な議会運営を図り、もって市民福祉の向上及び公正で民主的な市政の発展に寄与できるように基本事項を定めるものとする。

(他の条例との関係)
第2条 前条の規定に基づき、この条例の趣旨に反した議会運営に関する条例、規則等を制定してはならない。

第2章 議会活動・議員活動の原則

(議会活動の原則)
第3条 議会活動は、次に掲げる原則に基づかなければならない。

(1)公正性と透明性を確保し、市民に開かれた議会であること。
(2)行政運営が議会の議決に基づく適切なものであるかを常に監視し、検証すること。
(3)市民の多様な意見や価値観を踏まえた政策立案、政策提言等に努めること。
(4)議会運営は、市民に分かりやすい視点、方法等で行い、市民への説明責任を果たすよう努める。

(会派)
第4条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策立案、政策決定、政策提言等に関し、必要に応じて他の会派と合意形成について努めるものとする。

(議員活動の原則)
第5条 議員活動は、次に掲げる原則に基づかなければならない。

(1)議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な討議(以下「議員間討議」という。)を重んじること。

(2)日常の調査及び研修活動を通じて、政策立案能力の向上に努め、積極的に議員提案権の活用を図ること。

(3)市民の多様な意見を的確に把握することに努め、市民全体としての福祉の向上を目指すこと。

(4)議会活動の結果について、市民に対する説明責任を果たすこと。

第3章 市民と議会の関係

(市民参加及び議会報告会)
第6条 議会は、議会活動を広く公開し、会議結果等を速やかに市民に知らせるだけでなく、説明責任も果たさなければならない。

2 議会は、すべての会議を原則として公開し、傍聴者が会議の進行を理解できる環境を整えなければならない。

3 議会は、市民に対する説明責任から、議会報告会を行わなければならない。

4 前項の議会報告会に関することは、別に定める。

5 議会は、請願及び陳情の提出者に対して、趣旨説明の機会を与えることができる。

第4章 議会と市長等との関係

(議会と市長等との関係)
第7条 議会活動における議員と市長及びその他の執行機関(以下「市長等」という。)とは、常に緊張関係を保持するものとする。

2 会議における市長等との質疑応答は、一問一答式又は一括質問一括答弁式から議員が選択するものとする。

3 議長から会議への出席を要請された市長等は、議員の質疑等に対して、議長又は委員長の許可を得て、その趣旨を確認するための発言をすることができる。

(議案等の形成過程の説明)
第8条 市長等は、重要な計画、政策、事業等(以下「議案等」という。)を議会に提案するときは、論点整理を容易にし、より闊達な審議が行える環境を整えるために、次に掲げる事項の説明を行うよう努めなければならない。

(1)議案等を必要とする背景
(2)提案に至るまでの経緯
(3)市民参加の実施の有無及びその内容
(4)他の自治体の類似する事業や制度との比較検討
(5)総合計画における根拠又は位置付け
(6)議案等の実施に係る財源措置
(7)実行された場合の将来にわたる効果及びコスト

(議案等の説明資料の作成)
第9条 市長等は、議案等を議会の審議に付すときは、具体的な数値を盛り込んだ図表や写真、イラスト等を多用した分かりやすい議案等の説明資料を作成して添付するよう努めるものとする。

(議会の議決事件)
第10条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定により議会の議決すべき事件は、別に条例で定める。

(適正な議会費の確保)
第11条 議会は、適正な議会の活動費を確立するため、議会運営委員会で予算要望書を作成し、議長を通じて市長へ提出する。

2 市長は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議会が議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現し、かつ政務活動機能の充実を図るために必要な予算の確保に努めるものとする。

第5章 議員間討議の拡大

(議員間討議による合意形成)
第12条 議会は、言論の府であることから、委員会又は法第100条第12項に規定する協議又は調整の場(以下「委員会等」という。)においても、議員間討議を重視した運営に努めるものとする。

2 議会は、議員が条例、意見書等を提出するときは、前項の議員間討議を積極的に行えるよう努めるものとする。

第6章 政務活動費

第13条 議員及び会派は、法第100条第14項の規定に基づき交付される政務活動費を有効に活用し調査研究等を行い、政策提言を始めとする議会活動に活かさなければならない。

2 政務活動費については、条例で別に定める。

第7章 議会改革の推進

(議会活性化推進協議会)
第14条 議会は、議会改革に継続的に取り組むため、議員で構成する議会活性化推進協議会を設置する。

2 議会は、必要があると認めるときは、前項の議会活性化推進協議会に学識経験を有する者等を構成員として加えることができる。

(交流及び連携の推進)
第15条 議会及び議員は、他の自治体の議会及び議員との交流及び連携を推進し、常に先進事例等の調査研究等を行うものとする。

第8章 議会・議会事務局の体制整備

(委員会の適切な運営)
第16条 議会は、議案等を効率的かつ詳細に審査するとともに、新たに生じる行政課題等に迅速かつ的確に対応するため、事案の専門性、特性等を考慮して、委員会を適切に設置し、及び活用するものとする。

2 前項の規定に基づく委員会の詳細については、条例で別に定める。

3 議会は、第1項の審査に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。

(専門的知見の活用)
第17条 議会は、議会活動に関して必要があると認めるときは、法第100条の2の規定により学識経験を有する者や研究調査機関の活用を図ることができる。

(議会図書室)
第18条 議会は、議員の調査研究に資するために設置する議会図書室を適正に管理し、運営するとともに、その図書、資料等の充実に努めるものとする。

2 議会図書室の管理については、別に定める。

(議会事務局の体制整備)
第19条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び政策法務の機能の充実を図るものとする。

(議員研修会)
第20条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上のため、議員研修会を実施しなければならない。

2 議会は、前項の議員研修会の実施に当たっては、各分野の専門家である有識者を招いて行うよう努めるものとする。

3 議会は、一般選挙を経た任期開始後には、速やかにこの条例をはじめ議会全般に係る条例、規則等についての議員研修会を別途実施しなければならない。

4 議員研修会は、必要に応じて職員などに公開して行うことができる。

(広報広聴活動)
第21条 議会は、議会のホームページと議会の広報紙及び情報通信技術を活用して、多くの市民が議会及び市政への関心を高めるため、広報広聴活動を充実することに努め
なければならない。

2 広報広聴活動の詳細については別に定める。

第9章 議員の身分・待遇、政治倫理

(議員定数及び議員報酬)
第22条 議員定数及び議員報酬は、別に条例で定める。

2 議員定数の改正に当たっては、原則として第三者機関による議員活動の客観的な評価等を参考にしなければならない。

3 議員定数及び議員報酬の条例改正は、法第74条第1項の規定による市民の直接請求があった場合を除き、原則として委員会又は議員が改正理由の説明をしなければならない。

(議員の政治倫理)
第23条 議員は、市民全体の代表者として高い倫理性が求められていることを深く自覚し、行動しなければならない。

2 議員の政治倫理については、条例で別に定める。

第10章 検証及び見直し手続

(検証及び見直し手続)
第24条 議会は、必要があると認めるときは、この条例の規定について検証を行い、その結果に基づいて見直しなどの手続を講じるものとする。

附 則

この条例は、平成26年4月1日から施行する。