「住民参加」を進めることに積極的な議員さんと消極的な議員

 世論調査データを活用して政治参加を研究している同志社大学の西澤由隆教授によれば、日本人は投票以外の政治には「できれば関わりたくない」という“(政治)参加忌避意識”があるという。

 それでも比較的抵抗なく(投票率自体は下がっているが……)日本人が投票に行くのは、投票が「制度化されている」ということが大きいようだ。「制度化されている」ということをもっと簡単にいえば、法律や条例によって明文化され、その正当性が誰によっても確認できるということだ。

 その一方で、一定の手続きに従い許可を受けたデモは、表現の自由の一種として保障されているが、その正統性に疑問を持つ人が出てくる。それは、警察の警備・監視と相まって、誰にでもわかりやすい形できちんと明文化されておらず、制度化されていないからだ。

 「『制度化』は拒否感を下げる重要なファクターである」と西澤教授。そう「制度化」、つまり、法律や条例による「明文化」は、制度を創造するという意味でとても重要なのだ。

 にもかかわらず、横浜市は「住民参加」を制度化しなかった。議会報告会や意見交換会を議会基本条例で定めなかったからだ。すでに多くの自治体で制度化(明文化)しているのにである。その罪は重い。

 救いは、すべての議員が「住民参加」を進めなかったというわけではないことだ。そこで、積極的に議会報告会や意見交換会などを開催しようとしている議員さんとそうでない、消極的な議員を会議録を基に検証してみた。投票の際に参考にしていただけたらと思う。

※横浜市会基本条例の制定に関する調査特別委員会会議録を基に検証
 (ちなみにこの委員会自体が非公開でした)


結果一覧(12名:五十音順)

荒木由美子 日本共産党  南区   積極的 \(^o^)/
井上さくら 無所属クラブ 鶴見区  積極的 \(^o^)/
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有村俊彦  みんなの党  鶴見区  消極的 (T_T)
伊藤大貴  みんなの党  緑区   消極的 (T_T)
草間剛   自由民主党  都筑区  消極的 (T_T)
今野典人  民主党    緑区   消極的 (T_T)
斉藤達也  自由民主党  緑区   消極的 (T_T)
嶋村勝夫  自由民主党  都筑区  消極的 (T_T) 委 員 長
高橋正治  公明党    緑区   消極的 (T_T)
花上喜代志 民主党    瀬谷区  消極的 (T_T) 副委員長
松本研   自由民主党  中区   消極的 (T_T)
和田卓生  公明党    旭区   消極的 (T_T) 副委員長

※みんなの党 → 現在:未来を結ぶ会

2012年07月24日の会議録より

◆(荒木委員:共産党:南区)市民意見の聴取・議会活動の報告なのですが、そもそも私たちは、今回、議会基本条例をつくるに当たっても、市民との対話の場の位置づけで、議会報告会を区単位で実施するということを提案していた立場から、いろいろなやり方はあると思います。この間、江藤俊昭先生のお話を聞いていても、そういうスタイルは非常に大事だなと思っていますので、その内容について報告の仕方はいろいろあると思いますが、私たちが区民の皆さんと意見を交換しながら、次の条例提案ですとか、市長の提案にする内容について私自身もより深められていくという点では、これは欠かせないものだと思っています。ぜひ、報告会をやりたいと思っています。

◆(井上委員:無所属クラブ:鶴見区)議会活動の報告に関しては、市民の広報・広聴ということを直接生で行うということはとても大事だと思いますので、先ほど、区単位にこだわらなくてもいいではないか、例えば、常任委員会という方法もあるという意見もございましたが、全くそうだと思います。ですから、ここは区単位でという記載になっているかと思いますけれども、方法はこれからもっと詳細に議論をすればいいことであって、まずはやれるところから議会報告会という形で、ダイレクトに日常的に議会が市民と接していくということをぜひやるべきではないかと考えます。

◆(松本委員:自民党:中区)議会への住民参加の2番についてでございますが、これについては、適切な議会情報を発信、提供し、市民が関心を持つ取り組みから始める

◆(今野委員:民主党:緑区)議会への住民参加の中で、2番の市民意見の聴取、議会活動の報告ということで、これについては、適切な議会情報を発信、提供し、市民が関心を持つ取り組みから始めるということでお願いしたいと思います。

◆(高橋[正]委員:公明党:緑区)議会への住民参加の2番目の市民意見の聴取・議会活動の報告については、適切な議会情報を発信し、市民が関心を持てる取り組みから、各議員、また各会派から始めていく。また、区単位で始めるということも考えられるかと思いますけれども、適切な情報発信に努めるということです。

◆(伊藤委員:みんなの党:緑区)議会への住民参加の2番目ですが、ここは、我々の会派の中でも実はさまざまな意見がございまして、協議結果案では、議会報告会を区単位で実施するという形だったので、実施の仕方はいろいろあるのではないかという意見は出ました。それは、各行政区選出の議員がやるという話もありますし、あるいは、例えば問題になったケースに関しては常任委員会で説明に行くという方法なんかもあるのではないかという話が会派の中では出たのですが、ただ、今回の取りまとめる協議結果としては、資料記載のどちらかということなので、うちの会派としてこの2択の中においては、現状の中で一歩前進という意味では、まずは適切な議会情報の発信提供するというところからやっていこうという考えでまとまりました。

【補足解説】“住民のために積極的に議会を開いていこう!”という思いがないため、言い方があいまいだったり、言い訳が長かったりしてわかりにくいのですが、簡単にいえば、松本議員、今野議員、高橋議員、伊藤議員(を代表する会派)は現状通り、つまり議会報告会や意見交換会の開催の必要はないと主張されています。実際、条文に盛り込まれませんでした。議員なのですからもっとわかりやすく意見表明してほしいですよね。

※みんなの党 → 現在:未来を結ぶ会